第2章 ほんとうはお金をいただいても教えたくないけれど
家庭内の汚れの落とし方プロ流
「汚れ」落としの実践は、私の仕事の"手の内"をお見せするようなもの。同業者の競争もあるし、教えたくない、というのかホンネだが、世の中には
掃除に泣いている奥さんも多いし、もう黙って見てられない。
ハウスクリーニンクのプロとしては、こんなに汚れがたまる前に頼んでくれれば、と思うようなこと多い。だから、私たちの発見、工夫してきた「汚れ」落としの
テクニックを毎日のご家庭の掃除にも役立てぞほしい。 私たちの仕事は、要は、思いやりだ。奥さんたちの毎日の家事と同じだ。
1.ウォーター・セクションの汚れ落としプロ流
� �ッチン 油の料理が多いから汚れ取りも油との戦い
キッチンの換気扇の油汚れは、最初はヘラ使いがポイント
●プロペラ式とレンジフード式の二種類
換気扇は汚れた空気やにおいを外に出すための必需品ですが、空気といっしょに油分も吸い込まれていきますので、ふと気づくと油とほこりでベトベトということになりかねません。換気扇にはいろいろな種類がありますが、プロペラ式とシロッコファン式(レンジフード)の二つに分けられます。
●日常のメンテナンスは三ヶ月に一度を目安に
換気扇はとても汚れやすいものです。それではどのくらいに一度クリーニングをすればよいかというと、その家庭の食事の嗜好などによって汚れぐ あいが違うので一概にはいえません。一般に、いため物や揚げ物が多い家庭は油が付着しやすく、汚れも落としにくくなります。しかし、油料理といつしょに煮物をよく作る家庭では換気扇についた油に水蒸気が含まれ、比較的落としやすいようです。また、油料理をほとんど作らない家庭では、それほどひどい汚れはつきません。このように、家庭によって汚れぐあいは違っていますが、一般に三か月に一度ぐらいを目安にするとよいでしょう。三か月程度ではあまり汚れは目立ちませんが、掃除の間隔が短ければ短いほど当然汚れも少なく、クリーニングもたやすいものです。「この次にしよう」と思っているうちに汚れはひどくなり、時間も労力もずっとかかってしまいますので、「この程度」、の汚れのうちにぜひクリーニングを� ��てください。
●ヘラでこびりついている汚れをとり去ってから洗剤洗いを
まず、換気扇を分解してください。内部に金属の鋭利な部分がむき出しになっていることがありますから、分解するときから、必ずゴム手袋をして作業するようにします。ファンやプロペラにこぴりついている汚れはいきなり洗わず、できる限りヘラでそぎ落とします。この汚れは、油とほこりがまざり合って酸化したものです。竹ベラ、プラスチックのヘラ、割り箸など、換気扇よりやわらかいものを使って汚れをこそげとり、古新聞などに包んで燃えるゴミといっしょに捨ててください。次に、洗剤をスプレーで吹きかけてブラシでこすります。場所に応じてブラシの大きさを変えると作業がしやすくなります。� ��だし、レンジフードの外側の塗装部分は、直接洗剤をかけると変色しやすいので、洗剤をぬれぞうきんにスプレーしてふくようにするとよいでしょう。汚れがひどいときには、ぬれぞうきんで一度ふき、塗装部分の表面に水の膜を作ってから洗剤をスプレーすると、変色を防ぐことができます。洗剤をつけてブラシでこすり、洗剤によって油がある程度乳化したらお湯で流します。再び洗剤をつけ、ブラシでこすってお湯で流すという"洗剤洗い"と"リンス作業"を何度か繰り返し段階的に汚れを落としたほうが効率的です。換気扇には、モーターなど電気の通じている部分がありますので、この部分はかたくしぼったぞうきんで洗剤ぶきをする程度にとどめ、けっしてぬらさないようにします。もし、ぬれてしまったときは、完全に� �くまで数日の間、通電するのをやめます。このようにしてクリーニングがすべて終わったら、よく乾いたぞうきんできれいにふき、とりつけます。とりつけたらすぐに通電せず、まずファンが正しく回るかどうか手で回してみます。異常がないのを確認してからスイッチを入れるようにしてください。とりつけ異常があるのにいきなりスイッチを入れると、回転しているファンがはずれてたいへんに危険です。
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ガスレンジの汚れは油の焼きつき取りがやっかいだが、プロ流なら楽勝
●ステンレスもサビる
ガスレンジは、調理のときに油が飛び散ったり、煮汁が吹きこぼれたりして汚れやすいものです。これらの汚れをそのままにしておくと、熱 によって黒く焼きついてしまってなかなかとれなくなってしまいます。この汚れを無理やりにとろうとして金だわしや金属ヘラなどでゴシゴシとこするのは禁物です。ステンレスにきずがつき、かえって見ばえが悪くなりかねません。そうかといって、汚れをつけたままほうっておけば、いくらステンレスといっても長年のうちにさびてしまいます。ステンレスというのはさびないものと思いがちですが、真水に対しては強くても、汚れが付着してしまうとやはりさびるものなのです。
●汚れに洗剤をスプレーしたあとラップでおおうのがコツ
油が焼きついて乾燥している場合は、一見とりにくそうに見えますが、かえって洗剤がしみ込みやすい状態になっていますので、見た目ほどむずか� ��くはありません。まず、汚れの部分に洗剤を直接スプレーし、ラップで表面をおおいます。こうすると洗剤が蒸発せず、汚れの中に吸収されやすくなります。さらに、洗剤を吸収することによって汚れが膨張し、洗剤の吸収率はよりいっそう高くなります。こうして三十分ほどそのままおき、ラップをとり除いてスチールウールできずつけないようにこすります。汚れがひどい場合は、一ペんに落とそうとせず、この作業を何度か繰り返します。汚れがきれいに落ちたら、ぬれぞうきんでふいて仕上げます。さびている部分は、トイレ用酸性洗剤(塩酸の希釈液)を少量かけ、ブラシでこすります。このとき、必ずゴム手袋をはめて作業をするようにしましょう。サビが少ない場合はこの要領できれいに落ちますが、ひどいときにはある� �度しか落ちません。無理に落とそうとするときずを作ってしまいますので、ある程度のところであきらめましょう。調理台は汚れやすいものですが、調理が終わったあと、ふきんでさっとふいておくだけでたいていの汚れは落ちてしまいます。汚れはそのつどふきとるように習慣づけましょう。
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オーブンや電子レンジ料理が好きなわりに、手入れしてない奥さんたち
オーブンや電子レンジの内部は、調理の際の油や材料が飛びはね、それが高温で熱せられるために、一種の焼きつき塗装のようになってしまいます。最も落としにくい汚れの一つといえるでしょう。
●油の焼きつきをとる
調理後は、そのつど受皿を洗ってふきと る習慣をつければ、焼きつきもできにくくなります。いったん焼きついてしまった油は、竹ベラなどでできるだけこそげ落としてから、ガスレンジのときと同様、洗剤をかけてラップします。三十分そのまま放置したあとラップをはがし、再び竹ベラでこそげ落とします。この作業を根気よく何回か繰り返して、徐々に汚れを落としていきます。一度にきれいにしようとしないことです。また、金属製のヘラは内部にきずをつけてしまいますので、なるべくプラスチック製か木製や竹製のものを使いましょう。
●前面耐熱ガラスの汚れはスチールウール
耐熱ガラスの内側に焼きついた汚れは、使用後すぐにふきとっておけばいつもきれいに保っておけますが、油が焼きついたら、先の平らになった金属ベ� ��でこそげとり、洗剤をつけたスチールウールでこすればとれます。本体の外側は洗剤ぶきします。 いずれの場合も食品がふれるところですので、水ぶきとからぶきで仕上げます。
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台所の蛇口や食器棚のガラスを光らせるときれいに見えるもの
●水道の蛇口はいつも光らせて
水道の蛇口は、知らず知らずのうちに、洗剤の残り、油や手あかなどで汚れ、金属がくもってきます。せっかくきれいに洗ったはずの手も、汚れた蛇口にふれてはなんにもなりません。蛇口のそばにはいつもスポンジをおいて、手を洗うと同時に蛇口もいっしょに洗うようにしましょう。長い間にこぴりついた汚れは、プロの私はスチールウールに� �剤をつけて軽くこすります。蛇口がいつも光っていると、それだけでキッチンの清潔感に一役買います。
●食器棚の外側は住宅用洗剤で
キッチンにおいた食器棚は、外側が油やほこりで汚れてきます。特に取っ手部分やガラスが手あかでべトベトしてくることもあります。外側の汚れは、住宅用洗剤をぞうきんにスプレーしてふき上げます。引き手や前面ガラスや外側に油汚れや手あかのこびりついたところは、内部に洗剤が飛ばないように原液をスプレーして布でふき、仕上げに水ぶきします。食器棚の内側は、ふだんは熱めのお湯でかたくしぼった布でふき、湿気がこないように風を通して乾かします。
●食器棚の内部の清掃
食器は直接口につけ� ��ものなので、いつも衛生的に収納しておきたいものです。年に一度は、食器棚の内部と食器をきれいにしましょう。といっても、食器を全部一度に出してふくというのはやっかいなことです。日ごろ、食器を使うときには、重なった食器の上のほうから使いますが、使って洗い終わったら今度は下のほうにおき、まんべんなく使うようにすれば、いつもきれいな状態にしておけます。また、棚をふくときには、まずいちばん上の段の食器を出してその段をふき、下の段のものを順次上へ移していくというのも一つの方法です。棚の中が単にほこりだけなら、電気掃除機や小ぼうきなどで汚れを落としてから、脱水ぶきまたはからぶきするだけで十分です。水ぶきすると、かえって水けで固まったほこりがすみに残りやすくなります。最後� �、棚板にきずがつかないように、ビニールやふきんを敷いておきましょう。
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冷蔵庫内もときどき掃除する
●仕上げに漂白剤でふく
冷蔵庫は、購入した日からスイッチを入れっばなしにして使うものですから、けっこう酷使されています。ときどき中の食品の整理とともに、内部の手入れをしてあげましょう。外側は住宅用の洗剤でふいてから水ぶきし、さらにからぶきで仕上げます。冷蔵庫内部は消毒用アルコールでふくとよいといわれます。しかし、消毒用のエタノールは100パーセント近く純粋なものなので殺菌効果は高いのですが、一方でたいへん揮発力が高く引火性もあるため、使いにくいという欠点が� �ります。また、水によくとけるので薄めて使うことができますが、濃度が50パーセント以下になると殺菌力が劣ってきます。食品のこびりつきなどは、水でかたくしぼったふきんか、それで落ちなければ、食器用洗剤を薄めた物でふけば、たいていの汚れはきれいに落ちます。仕上げに漂白剤で殺菌した布でふいておけば完璧です。
●冷蔵庫内のにおい取り
冷蔵庫内のにおいは、悪臭の元となる食品がこぼれているときにはふきとりますが、長い間には庫内全体ににおいがこもり、いったんついてしまうとなかなかとれません。消臭剤を入れておくこともたいせつですが、においの出そうなものは食品用のラップなどで包み、においが他に移らないようにしておきます。内部を掃除するときに漂白剤� �薄めてふくと、においは少し緩和されます。
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昔は台所の床は日に何度もふいたものだが
●キッチンの壁の油汚れを落とす
キッチンの壁と床の汚れが、ふつうの室内の壁や床のそれと違っているのは、ほこりのほかに調理によって飛び散った油や、油煙の汚れが多いという点でしょう。調理中は換気扇を回したり窓をあけたりして、なるべく原因となる油煙を外に出すように気をつけます。それでもガス台を中心として油汚れが広がってきますので他の部屋よりも頻繁に洗剤ぶきすることが大事です。ガス台のそばの壁は、油がたれて固まり、ふいても落ちない場合があります。こんなときには、壁の素材を傷めないようにプラスチックや竹ベラを使って、ま� ��固まった油をこそげ落とし、そのあと洗剤ぶきをします。それでもまだ洗剤が残るときには、洗剤をつけたスチールウールでこすります。
●キッチンの床の汚れ
ガス台の下の床も、長い間には、ほこりを吸着してべとついた汚れが目立ってきます。これは床の変色の原因ともなりますので、早めに洗剤ぶきをします。クッションフロアなどに入り込んだ油汚れは、洗剤をかけて汚れをゆるめたあと少し水をまき、ブラシをかけて汚れを水にいったんとかし込んでからぞうきんでふきとります。
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ふろ場湿気と湯あかのことをよく知っておけば簡単
浴槽はスチールウールでこすってよく流し、乾いた布でふくのがプロ流
●浴槽は、湯上がりに洗えたらそれがベスト
浴槽についた湯あかは、人間の皮膚のあかがついたもので、上がりぎわに洗剤をつけたスポンジで軽くこするだけで落とすことができます。
しかし、長くほうっておくと、とりにくくなることも知っておきましょう。
●ポリ浴槽はスチールウールを使って
ポリエチレン樹脂でできている浴槽で、汚れがひどいときには洗剤をつけて、スチールウールでこすると簡単に落ちます。しかし、スチールウールは金属カスが出ますので、このままほうっておくとサビが浴槽に残ってしまいます。汚れが落ちたあとはシャワーなどでよく洗い流したあとに、念のため乾いたタオルでふきとります。これをきらうと きは、ブラシやナイロンたわしを使いますが、汚れの程度がひどいときには手間がかかります。
●ステンレスの浴槽の洗い方
ステンレスの浴槽は、他の浴槽にくらべて汚れがつきにくいのが特徴です。湯あかの落とし方は、ポリ浴槽と同じ方法でよいでしょう。ステンレスは光沢があるので、水滴が乾くときに水あかのカルシウム分が輪のようについて目立つことがあります。その部分は少し盛り上がっていますので、ステンレスをきずつけないように竹ベラやプラスチックのヘラなどを使ってある程度こすり落としてからスチールウールで注意深くこすります。いきなりスチールウールでこすると、水あかの周りの部分が先にこすれて、丸いあとが残ることがあります。毎回の入浴後に、� ��を落とし乾いたタオルでふき上げておくと、ステンレスに湯あかや水あかがつきません。
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